「河合文化教育研究所」が2023年3月末をもって閉所。37年の歴史に幕を下ろします。
河合文化教育研究所(通称 文教研)は、河合塾の付属研究機関として1984年に設立。河合塾の講師と外部から招聘した著名な学者や作家が主任研究員となって、さまざまな研究活動を行っていました。
その一環としてシンポジウムや講演会、書籍の発行なども行っています。
特に有名なのが「河合ブックレット」です。
河合塾で行われた文化講演会の中から厳選された講演録。吉本隆明、蓮實重彦、丸山圭三郎、鷲田清一、網野善彦、高木仁三郎……といった超豪華な顔ぶれです。
100ページほどのブックレットなので、読書をしてみたい受験生の入門用にも適しています。
また、近年では「推薦図書『わたしが選んだこの一冊』」という冊子を配布していました。
これは河合塾の講師や、学者、作家の先生方が、「自分の人生で大きな影響を受けた特別な本」を選ぶというもので、2010~2022年までの13年間で累計80万部を発行したとのこと。
受験生に送る良質なブックガイドになっています。
受験生にいわゆる「受験勉強」だけでなく、最前線の〈知〉を届けるという役割を果たしてきたと言えるでしょう。
そんな河合文化教育研究所の閉所で、「予備校文化」というものが本当に終わりつつあるということを実感せずにはいられません。
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