英和辞典の選び方2023 その1~英和辞典って必要なの?

最近は英和辞典を使わず、単語集を辞書の代わりに使う受験生が多いそうです。

辞書を引くのが面倒とか、単語集を使った方が効率が良さそうとか、理由はいろいろかと思います。

ネットでは「受験勉強に辞書は不要! 非効率な勉強法を押し付けるな!」という派閥と、「語学の勉強に辞書は必須! 単語集は辞書の代わりにならない!」という派閥で、しれつなイデオロギー対立が存在するとか……。

そこで、今回はこの論争を終わらせるために記事を書きました。

もし、単語集を辞書の代わりに使っている人がいたら、こう言いたいです。

「辞書、使ったほうがいいっすよ」、と。

そもそも、なぜ英和辞典が必要なのか?

単語集は辞書の代わりにはなりません。

誰が見てもわかることですが、辞書と単語集では情報量が全然違うからです。

単語集とは何か。それは「受験生が最低限暗記すべきこと」が示されているものです。

しかも、一般的な単語集(「○○大の英単語」のようなもの以外)はいろいろな大学を受ける人を対象にしています。

それこそ東大を受ける人も日東駒専を受ける人も同じ単語集を使っていたりするわけですが、たった1冊の単語集だけであらゆる大学の入試に対応することはできないのは明らかですね。

どうしても「試験にでるけど単語集には載っていない単語」というのは出てきてしまうわけです。

そこで必要になるのが英和辞典なのです。

英和辞典(とくにジーニアスウィズダムのような上級者向けの英和辞典)は東大だろうが京大だろうが、全ての大学に出る単語・熟語をカバーしています。

これを使わないのはもったいないではないですか。

単語集もろくに覚えられないのに辞書は必要なの?

でも、辞書不要派の人はこう言うかもしれません。

「そうは言っても、単語集に載っている1900個の単語すら覚えられないのに、辞書を使ってさらに覚える余裕なんてない

それはそう。みんなそう。

ただ、目の前にある問題集や過去問にわからない単語があって、困っているから調べるわけですよね。

そして、その単語は入試本番で出てきてもおかしくない

それはやっぱり辞書で調べるしかないじゃないですか。

こういう話もあります。「辞書で調べるのは、難しい単語だけだと思ってないですか?」ということ。

そもそも、単語集と辞書は役割が違うのです。

英和辞典には単語集に載っていないことがたくさん載っています

意味、用例、語法、熟語、派生語、関連語、単語の使い分け方、など……。単語の意味を図解したものが載っていることもあります。

辞書は、単語集に載っていない難しい単語を調べることも大事。でも、それだけではないんです。

単語集に載っている単語の、よりくわしい情報を調べる。

例えば、getとかinとかasとか、誰でも知っているような単語こそ、辞書を引いてみる

実はこういう基本語の解説は、各社とも力を入れてる部分だったりするのです。

辞書には、基本的な単語を掘り下げるという役割があって、これは単語集にはない機能なんですね。

わかりやすくというと

単語集=単語とお知り合いになる
辞書=単語と深くお付き合いする

というような違いがあるわけです。

辞書を引くと、自然と単語を覚えるという人もいます。

それも当然の話で、ちょっとお知り合いになっただけの人と、一度深い話をしたことがある人、どっちが印象に残るかということなんでしょうね。

辞書は「意味の確認」のためにある!?

「英単語ターゲット」(旺文社)は一語一義主義(一つの単語に一つの意味だけを載せる)ですが、それはこんな理由によるものです。

掲載された意味はその単語の中心的な意味なので、それをしっかり覚えていれば、ほかの意味で使われている場合でも、文脈の中で意味を推測できるようになるのです。

旺文社公式サイトより)

つまり、覚えるのは一つの意味でいいけれど、実際にはいろんな意味が出る可能性があるということですね。

単語集はただ覚えれば入試の英語が全部わかるというような万能のアイテムではないのです。

単語集はあくまで、文脈の中で意味を推測するために使える「道具」を提供してくれるものなんですね。

でも、普段の勉強では、推測しっぱなしというわけにはいきません。推測が合っているか、答え合わせが必要です。

推測が合っているか確認するために使えるのは、やはり意味や用例がくわしく載っている英和辞典です。

長文問題や過去問を解くときは「○○という単語にはこういう意味があるのではないか?」と推測してから、辞書でその意味がないか探してみるのです。

伊藤和夫先生もこんなことを言っています。

「辞書というのは,意味の確認のために使うべきもの」(『伊藤和夫の英語学習法』駿台文庫)

知らない単語を闇雲に調べるという意識ではなく、まず推測してから辞書で確認するという意識が必要なんですね。

ここまでの話をまとめましょう。

・単語集は「最低限覚えること」しか載っていないので、辞書で調べる必要がある

・辞書には単語集には載っていない意味、語法、熟語などの情報が載っている

・辞書は推測した意味の確認のために使う

ここで、辞書選びのヒントが一つ導き出されます。

受験生は難しい単語がいっぱい載っている辞書よりも、基本語の解説が充実している辞書を選ぶべきである。

というわけで、次回は具体的な辞書の選び方のお話になります。

次回の記事:英和辞典の選び方2023~基本語解説が充実した英和辞典がおすすめ

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