国会図書館のデジタルコレクションで読めるおもしろ受験関連本

前回、国会図書館のデジタルコレクションで読める貴重な参考書をご紹介しました。

今回は参考書ではなく、予備校や大学受験についてのちょっと面白い本の数々をご紹介したいと思います。

噂の予備校この名物センセイたち : 思わずもう一年浪人したくなる (Futaba books)

予備校情報センター 編『噂の予備校この名物センセイたち : 思わずもう一年浪人したくなる (Futaba books)』(双葉社)1986.7
https://dl.ndl.go.jp/pid/12054409

1986年の本です。当時の人気予備校講師を取り上げ、講義の再現やインタビューを行っています。

この時代から予備校が学校とは違う面白いモノとして社会で認識されるようになってきたようですね。

登場するのは牧野剛先生(河合塾・現代文)、土屋博映先生(代々木ゼミナール・古文)、多久弘一先生(代々木ゼミナール・漢文)、佐藤忠志先生(代々木ゼミナール・英語)など。

広告批評 (72)

『広告批評 (72)』(マドラ出版)1985-05
https://dl.ndl.go.jp/pid/1853037

『広告批評』という広告の批評雑誌で、「予備校」が特集された号です。

小田実先生(作家・代ゼミ英語科講師)の予備校論、代ゼミの土屋博映先生、有坂誠人先生(国語)のインタビューなどが掲載されています。

特に「名物講義再録」として土屋先生と有坂先生の85年度第一回講義の書き起こしが掲載されているのが注目です。

当時の代ゼミでどんな授業が行われていたのか、その雰囲気が伝わる資料としても貴重です。

河合塾五十年史

河合塾五十年史編纂委員会 編『河合塾五十年史』(河合塾)1985.2
https://dl.ndl.go.jp/pid/12054226

河合塾の50周年を記念して作られた塾史。参考書出版事業の歴史についても書かれています。

大学受験オレが入れたる! : 「偏差値の魔術師」がおくる絶対正しい合格聖書 (Kadokawa books)

佐藤忠志 著『大学受験オレが入れたる! : 「偏差値の魔術師」がおくる絶対正しい合格聖書 (Kadokawa books)』(角川書店)1986.10
https://dl.ndl.go.jp/pid/12051831

当時は代ゼミの先生(後に東進に移籍)だった「金ピカ先生」こと佐藤忠志先生の著書。

「『五文型』など、何の役にも立たない」とか、今読むとどうしようもないことばかり書かれていますがw、偏差値34.9の受験生に「新聞を一面から全部読め」とアドバイスしているところなどは興味深く、当時人気だった理由もわかる気がします。

↑なんとAmazonの中古では1万円以上(2024年6月時点)。

私の大学合格予備校作戦

エール出版社 編『私の大学合格予備校作戦 : 一流大学合格者による講師・教材・模試ズバリ採点 1988年版 (Yell books)』(エール出版社)1987.2
https://dl.ndl.go.jp/pid/12055681

エール出版の「予備校作戦」「参考書作戦」がなぜか3年分だけ公開されています。

インターネットがない時代は、こういう本でしか受験生の評判を知るすべがなかったわけです(かなりいい加減なレビューもありますが)。

1988年版なので、掲載されているのも伊藤和夫師(駿台)、潮田五郎先生(代ゼミ)といった伝説的な講師が中心になっています。

みんなで楽しむ浪人時代

あこがれ共同隊 著『みんなで楽しむ浪人時代』(大和書房)1987.4
https://dl.ndl.go.jp/pid/12055689

これは一体何の本なんだろう……と小一時間ほど悩みましたがw

おそらく、インターネットがなかった時代の情報ペーパーのようなものですね。

受験をテーマにしたコラムや手書きの新聞、当時流行の絵柄のイラストなど、読んでいて何とも言えない気持ちになりますが……w、これも今となっては80年代の受験カルチャーを伝える資料ですね。

日本国「受験ユーモア」五十五年史

旺文社 編『日本国「受験ユーモア」五十五年史』(旺文社)1985.2
https://dl.ndl.go.jp/pid/12467580

旺文社の受験雑誌『螢雪時代』(とその前身の『受験旬報』)の読者コーナー「受験ユーモア」を軸に、大学受験の歴史を振り返るというもの。

今でいう受験ネタツイみたいなものと言えばわかりやすいでしょうかw

なんと1933年から1985年までのネタが掲載されています。

もちろんその途中で戦争があり、投稿ネタもだんだん「疎開」「特攻」「兄の戦死」など
世相を反映した暗いものとなっていくのがなんとも悲しい気持ちにさせられます。

でも戦前から現代まで、受験勉強に苦しみながらも「ユーモア」を忘れないという受験生の姿はどんな時代でも変わることがなく、何十年も前のネタなのに今でも笑えるというのがすごいですね。

例えばこんなネタが……。

●面接
試験官「君の名前は?」
受験生、あたりをギョロリと眺めて、
「私の名は、桜三十浪とでも……」
昭和37年(1962年)4月号(兵庫・ヨラバチルゾ)

えー、この年に公開された映画に『椿三十郎』というのがあってですね……。今のTwitterでも見かける発想ですねw

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