【英文法】「あっそう」って言えちゃうのが自動詞ってホント?【小ネタ】

自動詞と他動詞をどうやって見分ける?

世の中には変わった本もあるようで、「『何を?』と聞くのが変で、『あっそう』で終わっていいのが自動詞です」という説明をしているものがあるんだそうです。

いや誰が書いたなんという本か全然知りませんけどw

その本にはすごい法則を発見した!みたいなノリで書かれていますが、このように「何を」がつくかどうかで判別するという教え方は大昔からありました

standのような,後に「何を」がいらない動詞を自動詞といい,likeのようにどうしても後に「何を」を必要とする動詞を他動詞という,その名称(名前)をまずおぼえておきましょう。

林野滋樹『たのしい英文法』(三友社出版)

50年以上前に書かれた本ですが、これは中学生向けにやさしく英文法を解説したものなんですね。中学1年生に自動詞・他動詞を教えるなら、こういう説明がわかりやすいということなのでしょう。

なぜ「何を?」「あっそう」ではダメなのか?

では、なぜ高校になるとこういう説明がされなくなるのでしょうか?

高校生向けの文法書では、「目的語を取らないのが自動詞」「目的語を取るのが他動詞」という説明がされていますね。

以前、ご紹介した田上芳彦『英文法用語の底力』を見てみましょう(この本、ホントに便利)。

なお、他動詞は日本語に訳すと「~を…する」となることも多いですが、訳語で他動詞かどうかを判断してはいけません。目的語があっても「を」以外の助詞を使うことはいくらでもあります。

田上芳彦『英文法用語の底力』(プレイス)

例えば、 ride a bike のrideは他動詞ですが、「自転車乗る」ではなく「自転車乗る」ですね。逆に、 gruduate from college 「大学卒業する」のように「卒業する」→「何を?」と聞けるけど自動詞ということもあります。
「何を?」「あっそう」などと日本語で判断したらあかんぞ、というわけです。

では、どうすればいいんでしょうか? 実際、動詞は自動詞と他動詞に完全に分かれるわけではなくて、ほとんどの動詞には自動詞と他動詞の用法があるんですね。

だから、辞書を丁寧に引いて、動詞の語法をちゃんと調べなければいけないというわけです。
こればっかりは面倒ですけどしゃーないです。

もちろん、特に間違えやすいものは文法の解説書(『ジーニアス総合英語』など)に書かれているので、チェックしてみましょう。

正確な読解のためにも自動詞と他動詞の区別は重要!

最後に伊藤和夫師の本を見てみましょう。

主語と動詞(S+V)の後にいきなり名詞が続かなければ、その動詞は自動詞だということにしましょう。at sevenのような「前置詞+名詞」が続くだけなら、自動詞と考えるわけです。

伊藤和夫『英文解釈教室 入門篇』(研究社)

「前置詞+名詞」は目的語にならないというのが原則です。

動詞の後にいきなり名詞が続いていなければとりあえず自動詞と考えよう、というわけです。

じゃあ、主語+動詞+名詞なら必ず他動詞かというと、「目的語」ではなく「補語」の可能性もあるのが面倒なところですが……。(※主語=名詞なら補語になります)

自動詞と他動詞の区別ってなんで必要なんだろうと思うかもしれませんが、このようにSVOなのか、SVCなのかという英文の構造をとらえるうえで重要なことなんですね。

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