知る人ぞ知る英単語集の名著、『英単語ピーナツほどおいしいものはない』。
「同時通訳の神様」と呼ばれた國弘正雄先生が序文でその学習法を絶賛していて、多くの英語の先生にも支持されています。
では、世の中に無数にある英単語集と、一体何が違うのでしょうか?
「ピーナツ=コロケーション」で覚える
『英単語ピーナツほどおいしいものはない』の最大の特徴は、コロケーションで覚えるということです。
コロケーションというのは、「動詞+名詞」や「形容詞+名詞」などの2つ以上の単語でできた連語のこと。
つまり、「英単語ピーナツ~」というのは、「ひとつの殻の中に2粒、3粒が入っているピーナツのように、単語も2語、3語の形でまとめて食べちゃうとおいしいよ」という意味なんですね。
コロケーションを使った英単語集としては、『システム英単語』が有名です。
ただ、「英単語ピーナツ~」は初版が1992年で、「シス単」よりもずっと前からこの形式を打ち出しています。
「ピーナツ」を食べるメリットとは?
では、コロケーション型英単語集のメリットとはなんでしょうか?
例えば、「英単語ピーナツ~」にはsupply and demand(需要と供給)というのが出てきます。
単語を1個ずつバラバラに覚えるよりも、このように実際によく使われる形で覚えた方が効率がいいわけです。
日本語でいえば、「囲碁」「将棋」「指す」「打つ」……と単語をバラバラに覚えるよりも、「囲碁を打つ」「将棋を指す」という具体的な形で覚えた方が覚えやすいですし、単語の使い方もわかりやすいですよね。
しかも、まとめて覚えることのメリットとして「囲碁を指す」「将棋を打つ」といった間違った表現を使わなくなるということもあります(「将棋を打つ」というのはつい言ってしまいがちですが、これ言うと将棋ファンにめっちゃ怒られますw)。
また、「英単語ピーナツ~」に載っているコロケーションは入試問題などの実例から採用されていて、ネイティブのチェックも厳重にされているのも安心できるポイントです。
覚えた「ピーナツ」は長文読解にも出てきますし、英作文にも使える武器になります。
このように、「英単語ピーナツ~」は英作文にも強い発信型の英単語集なんですね。
「みんな救ってあげる」
「英単語ピーナツ~」はとにかく覚えさせるための工夫がいっぱい詰まっています。
まず、右ページに日本語が書かれていて、ページをめくると左ページに英語が書かれています。ページをめくればすぐ答えがわかるので、テストをしやすいんですね。
そして、日本語にはヒントとして虫食いになった英単語のスペルが書かれています。(例・v..bs→verbs)。
このヒントを見て単語が思い出せればOKというわけです。
ヒントを見ても思い出せない時は、ページの左下に単語がABC順に並んでいるリストがあるので、この中から正解を探し出します。
「そんなにヒントばっかりあって意味あるの?」と思うかもしれませんが、全く無の状態から単語を覚えるのはものすごい労力が必要です。
だから、ヒントを頼りに単語を思い出すという作業をすることで、脳に記憶を定着させる手助けになるんですね。
一気に覚えようとせずに、少しずつ単語と顔見知りになっていくというわけです。
それでも「全然覚えられない」「英単語なんて見るのも嫌」という人もいるでしょう。
そんな人は、「まず日本語のピーナツだけを読め」と書かれています。日本語を見ていくうちに、それが英語でなんと言うのか気になってくるだろう。そうしたら、気になる単語だけでも覚えられるはずだ――。
「英語が苦手な人もみんな救ってあげる」という著者の温かさが「英単語ピーナツ~」にはあって、とても素敵だなって思います。
「100粒を何秒でクリアできるか」リアルタイムアタック
具体的な使い方は本書にくわしく書かれていますが、これもとても参考になります。
英単語を覚える時に「1日10個」とか「1日20個」と決めている人も多いと思いますが、「英単語ピーナツ」ではピーナツ(コロケーション)100個を一気にやるというのが基本です。かなり厳しいですw
でも、単語はちょっとずつ覚えるよりも、短時間で一気に100個やって、何周も何周も繰り返すほうが記憶に残りやすいということなんですね。
また、英単語ピーナツをやる時はストップウォッチが必須です。
そして100個を何分何秒でできたか、何問正解できたかを記録していきます。
何周も何周もしていくうちに、正確性も上がっていくし、タイムも速くなっていきます。
つまり、英単語のRTA(リアルタイムアタック)をやろうということですね。
注意! 「本物」は金・銀・銅の3冊だけです
なお、現在では『英単語ピーナツ』というタイトルの英単語集が他にも出ています。
ただ、これは著者の清水かつぞー先生が亡くなってから、他の著者によって作られた別物です。
清水かつぞー先生の『英単語ピーナツほどおいしいものはない』は金メダルコース、銀メダルコース、銅メダルコースの三部作なので、くれぐれもお間違えないように。
なお、難易度は銅メダルが一番易しく、金メダルは難関大レベルです。
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